予算編成の際に、売上予算・売上原価予算を作成しますが、製品の受注数量は変動しやすく、予算に計上した案件が未受注となる場合や、予算外の案件を受注する場合もあります。そのため、年度予算管理は、会社全体の利益を大枠で捉えたものとなります。
よりきめの細かい利益管理を行うためには、受注の都度、案件ごとに原価目標・利益計画を行う必要があります。
受注生産型企業の案件別・製品別利益管理
STEP1:実行予算の作成
案件を受注し、社内で製造指図書を発行する際、売上原価・売上総利益の計画書(実行予算)を作成します。材料費、部品費、外注費、作業工数の計画は、同種または類似製品(案件)の原価を参照します。なお、労務費・製造経費の計画を行う場合、作業担当者は、操業度や労務費・製造経費の増減によるレート差異を管理することはできないため、計画工数×予定レートにより原価の計画を行うことにより、管理可能な原価の範囲内で計画・実施を行うことができます。
STEP2:実行予算の実施
実行予算は、売上高に応じて、工場長等の部門管理者又は社長の承認を受ける必要があります(職務権限規程等により承認者を定めます)。材料の発注や作業の実施は、原則として、職務権限規程等に定められた承認者の承認後に行います。仕様変更等の契約変更があった場合、実行予算の見直しを行います。
STEP3:実行予算と実績原価の差異分析
製品または案件の完成後、実行予算と実績原価との比較(差異分析)を行い、計画値との乖離が生じた場合、差異理由を担当者に報告してもらいます。差異理由を基に、製造工程や作業方法の改善すべき点を検討します。