原価計算は、各企業様のビジネスモデルに合わせて、最適な方法を選択することが重要となります。
原価計算を活用することにより、製品ごとの収益性や、製品に占める様々なコストの発生状況を分析することができ、経営改善に向けて取り組むべき点を導きだすことが可能となります。
こちらのページでは、製造業や建設業の原価計算について紹介させていただきます。

個別受注生産を行う製造業、建設業向けの原価計算方法(個別原価計算)

個別原価計算は、個別受注生産を行う製造業や、建設業に適した原価計算方法です。
受注製品別や工事現場別に割り当てられた番号(「指図番号」や「工事番号」などと言います)ごとに材料費、外注費、人件費、経費などを集計する計算方法です。
各番号ごとに集計された原価は「原価表」に集約され、個別製品ごとに発生した原価の総額や、材料費・人件費・経費がそれぞれどの程度発生したのかを把握することが可能となります。
また、原価表に売上高の情報を追加することにより、売上総利益(粗利)を計算することが可能となり、個別製品ごとの利益管理に役立ちます。
なお、労務費や製造経費については、1時間当たりの作業単価を決めておき、製造作業や建設作業を行う方が作業日報などに日々の作業で発生した工数を個別番号ごとに集計して、「工数の合計×1時間当たりの作業単価」によって発生した金額を計算する必要があります。                                                   

個別原価計算のポイント

・製品別や工事現場別に個別番号を決める。
・個別番号ごとに、材料費・人件費・経費を集計する。
・人件費や経費は、1時間当たりの作業単価を決めて、作業日報などにより集計した工数との掛け算をする。
・原価表に集計された番号ごとの原価や売上総利益を確認し、改善すべき点はないかを確認する。

見込み生産や大量生産を行う製造業向けの原価計算方法(総合原価計算)

総合原価計算は、同じ規格の製品を大量に生産する製造業に適した原価計算方法です。
1ヶ月間などの一定期間に発生した材料費・人件費・経費を集計し、その期間内に生産した製品の数量の合計で割ることにより、製品1個当たりの製造原価を計算します。
なお、売上原価については、販売した数量に、製品1個当たりの製造原価を掛けることにより求められます。
月次決算を行う企業様の場合、前月末の製品の在庫高と、当月に完成した製品の両方が当月に出荷されることが多く、その場合には先入先出法や総平均法など、一定の計算ルールを決めて、売上原価を計算する必要があります。
また、2種類以上の製品をする場合には、製品ごとに番号を決め、材料費・人件費・経費をそれぞれの番号ごとに集計する必要がありますが、その場合、人件費・製造経費については、個別原価計算と同様に、1時間当たりの製造単価を決め、発生した工数を集計して、「工数の合計×1時間当たりの作業単価」によって発生した金額を計算する必要があります。

総合原価計算のポイント

・1ヶ月間などの一定期間に発生した原価・数量により、製品1個当たりの製造原価を計算する。
・製品の期末在庫高の評価方法(先入先出法や総平均法など)を決める必要がある。
・2種類以上の製品を製造する場合、人件費や製造経費は、作業員の工数や工作機械の作業時間に応じて按分する。