原価計算を行う際、材料費・部品費・外注費などは、どの製品を製作するのに使用したのか区別することができるため、直接的な紐づけを行うことができます。一方、労務費や外注費を除く製造経費は、様々な製品の製造に共通して発生しているため、直接的な紐づけを行うことができません。                                                        そのため、労務費・製造経費を製品別に原価計算するためには、次の手順により行う必要があります。

STEP1:配賦基準の決定

労務費や製造経費は、製品の生産量や製造活動に応じて、各製品に負担させることが必要です。               労務費や製造経費を製品別に負担させることを「配賦(はいふ)」といい、一定の基準に基づいて、各製品別の生産量や製造活動に応じて公平に負担させることが必要です。                                      労務費や製造経費を製品別に負担させる基準を「配賦基準(はいふきじゅん)」といいます。               「配賦基準」には、製品の製造活動を行うための作業工数や、工作機械の作業時間などがあります。             

STEP2:配賦レートの計算

STEP1で、「配賦基準」を製品の作業工数や機械作業時間とした場合、製品別の労務費・製造経費の原価は、「【1時間当たり・1分当たりの労務費・製造経費】×【製品の作業工数・機械作業時間】」により計算されます。そのため、1時間当たり又は1分当たりの労務費・製造経費(配賦レート)を計算する必要があります。配賦レートを計算するためには、1年又は1ヶ月などの期間に発生する労務費・製造経費と、製品の作業工数または機械工数などを集計する必要があります。

STEP3:製品別の工数等の集計(製品別の配賦基準値の集計)

作業日報などに記載された作業工数や、機械日報などに記載された機械作業時間を製品別に集計します。原価計算を実施しようとする企業様は、月次決算又は月次で試算表を作成することが大半と考えられます。原価計算も月次で行うためには、月単位で工数を製品別に集計する必要があります。

STEP4:各製品への労務費・製造経費の配賦(配賦レート×工数)

STEP2で計算した「配賦レート」を、STEP3で集計した「製品別の工数」を掛けることにより、製品別の労務費・製造経費を計算(配賦)することができます。