製造業の利益管理を行う場合、製品別の原価率・利益率が異なるため、売上高と売上原価の管理が重要となります。したがいまして、予算管理を行う場合においても、「製品別の受注・売上予算」と「製品別の原価予算」が重要となります。

製造業の営業利益を管理するためには、どのような予算が必要か?

製造業の営業利益を予算管理するためには、「受注売上予算」・「売上原価予算」・「部門経費予算」が必要となります。なお、「部門経費予算」のうち、工場の人件費・経費については、材料費・部品費・外注費と合わせて「売上原価予算」を構成します。

また、製造業は、工場設備の導入・更新や、研究開発・技術改良も必要となります。予算管理を導入する場合、上記の「受注売上予算」・「売上原価予算」・「部門経費予算」に加えて、必要に応じて「試験研究費予算」・「設備予算」・「資金予算」といった予算編成が必要となります。

製造業の損益予算編成の手順

下の図は、各部門における各種予算編成と、全社の損益予算編成までの繋がりを表した体系図です(開発予算・設備予算は含まれていません)。

STEP1:受注・売上予算の編成(担当:営業部門)

製品別・客先別に受注予算を編成します。そのうち、予算編成の対象事業年度に売上が見込まれる製品・案件を抜粋し、売上予算を編成します。受注・売上予算を編成する際には、受注の見通しや市場動向などを確認し、顧客別・製品別に見通しを立てます。

STEP2:部門経費予算の編成(担当:全部門)

部門別に部門経費予算(人件費・経費予算)を編成します。工場部門、営業部門、管理部門すべての部門が予算編成を行います。部門経費予算のうち、人件費予算については、社員別の給与・賞与が基礎となるため、各部門からの人員計画(採用・昇格・退職)に基づき、給与計算担当部門が取りまとめを行い、部門別の人件費の合計額を各部門に通知します。人件費以外の経費については、原則として各部門で予算編成を行いますが、減価償却費や土地の賃借料など、各部門が発生を管理できない経費については、経理部門など管理部門が予算編成をサポートする必要があります。

STEP3:売上原価予算の編成(担当:工場部門)

工場部門は、受注・売上予算に基づいて、売上原価予算の編成を行います。売上原価予算は、次の手順で編成を行います。

①案件別・製品別の材料費・外注費・作業工数の計画

②労務費・製造経費レートの作成(部門経費予算で計画した工場の労務費・製造経費÷上記①で計画した工数の合計)

③製品別・案件別の労務費・製造経費予算の作成(上記①で計画した案件別・製品別の作業工数×上記②で計画したレート)

STEP4:営業外損益予算の編成

借入金の支払利息や受取配当金など、営業外収支については、経理部門で「営業外損益予算」を編成します。

STEP5:会社全体の損益予算の編成

STEP1~STEP4で作成した売上予算・売上原価予算・部門経費予算・営業外損益予算を合算し、会社全体の損益予算を編成します。前々期の実績や前期(進行期)の損益見通しと比較し、差異を確認し、不自然な差異があれば修正を行います。各部門の責任者を集めて、予算会議を行い、次年度の予算として最終決定を行います。新年度が開始する前に、年度予算として社長から会社全体に通達(示達)します。